第1回ワークショップ(2013年8月24-25日)
フィリピンにおける地域の気候変動対策のためのコミュニティ活動と都市間協力事業 (報告)

左から)トゥビゴン市長、京都市青島氏、熊本市永田氏、都市計画開発部コーディネーターNoel氏

一年目となる今年は、現地の青少年グループが対象。全二回研修のうち第一回目は「削減策」に焦点をあてて行った。(第二回は「適応策」で、9月下旬を予定)今回は研修講師として、日本の自治体から京都市の青島早希氏および熊本市の永田努氏にご参加いただいた。

第一回研修ポスター
開会の挨拶をするトゥビゴン市長

<一日目>

1日目9:30「地球温暖化の基礎知識」by Ms.Pebbles Sanchez & Ms.Rachel Seso(CCC:マニラに拠点を置く環境教育NGO)

  アニメーションや質疑応答を通してわかりやすく地球温暖化の基礎を説明。温暖化の原因は人的要因であること、過去の平均気温トップ10が2000年代に集中していること、今後アクションをとらなければ地球の平均気温はどうなっていくか、温室効果ガスがどのように地球温暖化を引き起こしているか、排出したガスが何年空気中にとどまるか、温暖化により世界で起きている現象(海面上昇や珊瑚への影響など)の説明。

 続いて、フィリピン国内の状況。フィリピンは温室効果ガス排出の点では先進国に比べ、低割合ではあるが、平均20回台風が通るといったような気象条件により、国連による地球温暖化対策重要国リストの第三位になっている。例えば2011年の台風被害額は200億フィリピンペソ。2012年の台風による農作物、インフラへの被害額は320億フィリピンペソ。

10:00「地球温暖化の影響」by Catherine Diomampo(イクレイ東南アジア)
 地球温暖化による世界への影響を動画にて説明。地球の図を使い、氷がどのように減少しているかを図示。(2000年代から急速に氷がとけている)(NASAによるClimate Time Machineを利用)

10:45「温室効果ガス(GHG)排出源」by Laurice Calipusan(ボホール州)
 各温室効果ガスを人的起源および自然起源別にデータテーブルで図示して説明。
エネルギーの生成から流れを説明。太陽光から始まり、地球に吸収されるもの、されずに大気中に戻るもの、から始まりエネルギーの流れを科学的に説明。二酸化炭素が排出されるまでの流れ。温室効果ガスにより熱が戻る仕組みを図示。

11:00「トゥビゴン市での温室効果ガス排出源」 by Noel Mendana(トゥビゴン市)
 まずはトゥビゴン市の特徴を紹介。面積、気象条件、34バランガイ(28本島、6離島)、土壌、人口、収入、産業(第一次産業(農業、漁業)および商取引(輸出))、成長率(8%)など。
 次に、トゥビゴン市の温室効果ガス排出源として下記を紹介。
1. 輸送(陸路及び海路、燃料はディーゼルおよびガソリン)
2. 電気(ディーゼルパワープラント、水力発電がソース、主要利用者は市役所(電気と運輸)、BAMDECOR(えびの養殖と輸出業者)、車販売者、ただし電気利用料の正確なデータはない。
3. 家庭では電気、LPG、木材・石炭利用がソース、電化製品はテレビ、電気扇風機、冷蔵庫、空調、アイロン。
4. 第一次産業(米、ココナッツ、バナナ、野菜、カカオ、コーヒーなど、家畜、漁業)
5. 固形廃棄物(管理:リサイクル、コンポスト、リユース、残渣)

13:00「排出量計算の基礎」by Ranell Dedicatoria(イクレイ東南アジア)
 排出量計算の基礎を説明。排出量はだれがどのように行うか、なぜ必要か。排出係数を用いたGHG計算、インベントリ、バウンダリ、スコープ別、セクター別算定について、京都議定書の元で指定されている排出計算対象ガスの紹介。のち、基礎的な排出量算定の出題、答え合わせ。家庭の排出量計算については、必要事項を記入して自動計算できるエクセルテンプレートを実例を示して紹介。

14:00 ペーパーワーク&発表
14:45「持続可能なエネルギー(RE&EE)について」by Cecilio Baga(CTU-AREC:セブ 技術大学)

  家電製品の環境性能評価表示「イエローラベル(認証ラベル)」を紹介。星5つにより環境性能を示し、エネルギー効率指標を数値で示している。照明については、照度を落とすことで省エネになることを紹介。研修生の各家庭の家電製品普及率を挙手にて調査したところ、冷蔵庫25%程度、エアコンほとんどなし(1人)、電子レンジなし(統計では普及率5%とのこと)、洗濯機&アイロンは数名といったところ。

 次に、CTU-ARECが事業展開している「再生可能エネルギー101(太陽光、バイオマス、水力、風力)」とともに、再生可能エネルギーの紹介。一番普及している太陽光の歴史について。始まりは1839年から。米国海岸が50年代に採用し、60年代に衛生中継のエネルギー源に、70年代に地上で使われるようになり、90年代にVisayasで試験ユニット11台完成。セブ島の一部に大規模太陽光集光場所があるほか、個別にメンテナンスも最小限ですむストリートランプなどを紹介。一部に太陽光蓄電システムもあり。

京都市講師 青島氏
熊本市講師 永田氏
電気メーターを使って、実際に電力を測る様子
「行動計画」の策定中

<二日目>

9:00「国内および国際的な環境政策」by Ms.Pebbles Sanchez & Ms.Rachel Seso(CCC)
  国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、京都議定書、締約国交渉(COP)、付属書の国別の公約・責任、現在 の交渉内容など、国と国の国際的な環境政策・動向を紹介。国家間の炭素取引をアニメーションを使ってわかりやすく説明した。また、フィリピン国内の環境政 策や公約、CDM事業を紹介。

10:30「京都市の地球温暖化対策」by 京都市環境局地球温暖化対策課 青島早希
  京都市の概要説明、京都議定書、地球温暖化対策の紹介。対策としては「エコ学区」を主に紹介。これは、専門家の助言のもと各家庭で実践する省エネの取組と地域活動として温室効
果ガスの削減に寄与する実験的な取組を2年間にわたって実施する事業。京都市民以外は制度を活用できるのか、との質問に、市の制度なので活用できないが、市外から類似した取組を実施している自治体はあるとの回答。
また、京都市で実際に行っているディスカッションワークショップを会場で実際にやってもらった。「災害時に 3,000人の避難者に対して2,000人分の食糧しかない。あなたが食糧配布の責任者だとしたらどうするか?」といったお題を投げかけ、ディスカッショ ンしてもらう。会場からは「2,000人分を3,000人分に分け今すぐ配布」「重要度(緊急度)の高い人を2,000人選定する」等の回答が出た。問題を自らのものとして考え,さまざまな意見や価値観のちがいを共有すること、がこのワークショップの目的である。

13:30「熊本市の地球温暖化対策」by 熊本市環境局水保全課 永田努
 熊本市の概要説明、水管理の 紹介のあと、「エコライフレッスン」として、家庭・各自でできる地球温暖化対策を紹介。冷暖房の設定温度、待機電力をカットするために使っていない電化製 品のコンセントプラグを抜く、冷蔵庫にものをつめこみすぎない、LED電球に変える(実際の価格や寿命、消費電力を数値で示し、LED電球が地球にも財布 にも優しいことを説明)、お風呂の残り湯の活用、マイバックの活用、リサイクル製品の選択などを紹介。一部現地のライフスタイルにないものは日本の事例と して紹介、現地でも活用できる対策については詳しく説明、実践を促した。
 その後、太陽光LEDランプおよび電気メーターの実物を使って、再生可能エネルギーの仕組み、及び電力の見える化(数値化)について学んでもらった。

15:00 ワークショップ 
◎電気メーターによる電力測定 
 研修で紹介した電気メーターを会場内にあるコンセントプラグにつなぎ、実際に何にどのくらいの電力が使われているか、また待機電力がどのくらいあるかを数値ではかり、把握してもらった。

◎「行動計画」の策定 
 今回の研修で学んだことをもとに、各バランガイでどういった地球温暖化対策事業が行えるか、実際に「行動計画」を考えてもらった。その後発表。研修参加者からは下記のような行動計画が出た。
1. 温室効果ガスを吸収する目的の植林計画。
2. 温室効果ガスを吸収する目的のマングローブ拡大計画。
3. 固形廃棄物管理に関する知識吸収のためのセミナー、ワークショップの開催。
4. 使わない電化製品のコンセントプラグを抜く、環境に優しい移動(自転車等)を心がけるなど、家庭や自身でできるエコ対策の教育キャンペーン。
5. ペットボトルを植木鉢として再利用する植木コンテスト。 

第一回研修参加者
参加者のフィードバック・レーティング

研修参加者に今回の研修の感想をもらったところ、非常に好評であった。「非常に勉強になった」「今後も研修成果を活用していきたい」など、ポジティブな意見ばかりであった。

また、講師としてご参加いただいた熊本市・永田氏より、「トゥビゴン市の青少年を対象に、熊本市の地球温暖化対策などを発表し、同市において実施可能な温暖化対策を説明するとともに、今後の取組みなどについて意見交換を行った。参加者は皆、非常に熱心で、将来、フィリピンの環境問題を担うリーダーに成長してくれることを確信した2日間の研修であった。」京都市・青島氏より「雨の降り方により主産業である農業に大きな影響が出るフィリピンにおいては,気候変動が大きな関心事となっていることを肌で実感しました。日本の青少年にもフィリピンの青少年にも,環境意識の高い行動力のある将来を担い手に成長していってほしいと考えているので,京都市でもより効果的な環境教育事業の推進に努めたいと改めて思いました」とのコメントを頂いた。

 
 
 
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