第2回ワークショップ
気候変動・防災と女性(2014年9月19-20日)

研修に参加した地域住民と講師の方々、イクレイ事務局スタッフ

事業2年目のワークショップは、コミュニティの女性リーダーを対象として、女性の視点から気候変動問題を考える機会を提供した。研修講師として、日本の自治体から北九州市と京都府にご参加いただいた。

研修参加者:フィリピン・ボホール州トゥビゴン市のコミュニティの女性リーダー約50名
講師:トゥビゴン市、フィリピンエネルギー省、ボホール地域のNGO、ボホール州環境自然局、北九州市、京都府の専門家・担当官等


各地域から約50名の女性リーダーが参加

<1日目>

セッション1:「気候変動の基礎知識」by Catherine Diomampo (イクレイ東南アジア)

 Climate(気候)は「どんな服を買うか」に影響し、Weather(天気)「何を着るか」に影響するという身近な例を用いて2つの用語の意味の違いを示し、気候とは、一定の期間におけるその場所での天気の平均的な状態であることを説明。従って、気候変動とは、主に人間の活動に起因する温室効果ガスの上昇により、地球の平均気温が変わってきていることである。

 地球温暖化はまさに今起こっており、台風や洪水、干ばつという形で現れていること、フィリピンは、平均20回の台風が通るという気象条件であり、地球温暖化対策が必要であること、このまま何の対策もとらず地球温暖化が進んだ場合、私たちへの影響は、農業、水、森林、健康、動植物、エコシステム、レクリエーションにまで及ぶことを説明し、温暖化対策に向けた地球規模での取組を紹介し、その重要性について説明した。

セッション2:「女性にとって気候変動はどのように影響するか」by Estrella Espinosa(PhilDHRRA:「フィリピン農村人材開発パートナーシップ」(農村開発を進めるNGOの連合体))  

 地球温暖化による気候変動は、天候の変化や気温の上昇、海面の上昇を引き起こし、災害につながる。女性にとって、気候変動について学び、温暖化防止に向けて実践することが大切なのは、男性より女性のほうが災害の影響を受ける可能性が高いからである。貧しい人々が一番災害の影響を受けやすいが貧困層は男性より女性が多く、家にいることの多い女性の方が災害の影響を受けやすい。また、女性が知識やスキルを学ぶことのできる場が少ないこともあげられた。 

 社会から求められていると感じている役割(家にいて子供を育て家事をする、積極的に勉強や活動をしなくてもいい)にとらわれず、女性も積極的にこの問題に関わっていくことが重要である。

セッション3:「気候変動の緩和策」by Catherine Diomampo(イクレイ東南アジア) 

 地球温暖化の原因となる温室効果ガスをどのように減らすことができるのかを実践例を交えて講義。①太陽光や風力発電に代表される再生可能エネルギーについて、それぞれのメリット・デメリットを紹介。②省エネに向けた実践方法(使用していない電気器具のコンセントは抜く、自動車の相乗り、公共交通機関の利用、自転車や徒歩での移動、アイドリングをしない等)③その他の有効な手段として、森林保全や適切な廃棄物処理を説明。 

北九州市環境局環境学習課 徳永氏

セッション4:他の自治体・コミュニティにおける経験から
4-1「北九州市の持続可能な都市づくりに向けた取組」by北九州市環境局環境学習課ESD推進係長 徳永晶子

 北九州市の概要説明(地理、人口等の基礎データ、産業都市としての歴史)。他の自治体に先立って実施された公害対策について講義。この問題に対して最初に声を上げたのは、子どもの健康を心配した母親たちである。自発的に大気汚染の状況を調査し、その結果をもとに改善を求めて起こした積極的な運動が企業や行政をも動かし、市民・企業・行政一体となって取り組んだ結果、公害克服に至った。 

 続いて、家庭でできる取組として、「使い切り、食べ切り、水切り」の3切り運動を紹介。家庭ごみのうち、およそ40%は生ごみであり、その生ごみには80%の水分が含まれているという。必要な食材だけを購入し使い切る、必要な量をつくり残り物もアレンジして食べ切る、生ごみを捨てるときにはできるだけ水分を切るなど、日常生活の中で、家庭ごみを減らす工夫ができることを説明し、実践を促した。また、使用済み食用油をバイオディーゼル燃料にリサイクルし、市のごみ収集車や市営バスの一部に使用している取組を紹介。家庭でできる廃油のリサイクル例として、牛乳パックを利用し、廃油から石鹸やキャンドルを作る方法についてのペーパーを配布した。また、日々のちょっとした工夫で地球温暖化防止のためにCO2を削減できることを気づかせてくれるエコチェックシートによる取り組みを紹介。 

 公害克服のように大きな問題であっても、その解決の発端となったのは母親たちの気づきであったことや、日常生活の中で無理なくできることがごみの削減につながることなど、参加者が自分たちの生活を見直し、その中でできる取組の必要性や重要性について学んでもらった。

京都府文化環境部環境・エネルギー局地球温暖化対策課 佐藤氏

4-2「京都府の温暖化防止に向けた取組」by 京都府環境・エネルギー局地球温暖化対策課 佐藤智宏
 京都府の概要説明(地理、観光名所、京都議定書)、地球温暖化防止活動推進員の説明、環境教育について紹介。

 地球温暖化防止活動推進員とは、地球温暖化防止に関する活動に対して熱意がある一般の方が、自身の経験と知識を生かしつつ、研修等を通して得た知識や経験も活用して、地域に対して地球温暖化対策の重要性につ いての普及啓発等を行っている。現在京都府内では、300名以上の推進員がボランティアで活動されているとのこと。 また、京都府地球温暖化防止活動推進センターで実際に使用している環境学習教材等を使い、参加者への環境教育を実践してもらった。まず、参加者の一人にレインコートを着てもらい、どのように 感じるかを質問。「蒸し暑い」との回答に、温室効果ガスが地球を覆っている状態と同じであることを説明し、地球温暖化の状態を理解してもらう。手回し発電 により電球を点灯させるキットでは、豆電球の数を増やすと負荷がかかりハンドルが重くなるので、たくさんの電気をつくるためには多くのエネルギーが必要と なることを実感できるとともに、豆電球とLEDランプの負荷の違いを体感してもらえた。災害等により電気がなくなっても使えるLEDソーラーライトについ ても紹介。 

 さらに、家庭における取組として、「夏休み省エネチャレンジ」を紹介。シャワーを出しっぱなしにしない、電気をこまめに消 すなど、エコチェックシートを用いて実施することで、家庭での省エネ活動の普及を図ることを目的として実施。一定の取組を行った家庭には「エコ親子認定 証」を交付するとともに、学校単位でも取り組み、すぐれた成績を収めた学校を表彰している。 地球温暖化やエネルギーについて、体験を通して分かりやすく 学んでもらうとともに、地域・家庭での取組を紹介いただいたことで、一人ひとりの意識の持ち方や地域における活動の重要性について、参加者の意識向上につ ながった。

セッション5:家庭における省エネルギーの実践 byエネルギー省消費者福祉推進局
 家庭でできる省エネルギーのヒントとして、ランプの選択や、電気製品の使い方の工夫を紹介した。

LED電球の省エネについて体験
今後の活動を話し合う参加者

<2日目>
セッション6:コミュニティにおける気候変動への適応 byボホール環境自然資源局
 気候変動適応のジェンダーとの関連性の重要性を伝えた。地域の開発計画では、ジェンダーと環境との関連性に常に配慮すべきであることを説明した。

セッション7:防災と女性byイクレイ東南アジア
 気候変動がもたらす災害は増えており、女性は特に脆弱性高いということが言える。防災における女性の役割の重要性を伝えるとともに、ロールプレイングなども混ぜて参加者間の意見交換を行った。

ディスカッション:
ワークショップの内容を受けて、今後トゥビゴン市のサポートを受けながら各コミュニティで推進していく行動計画について議論し、次のようなテーマでの取り組みが提案された。1)洪水に弱い地域に、早期警告システムの導入、2)分別やリサイクル推進による適切な廃棄物管理、3)沿岸部や河川の定期清掃、4)マングローブ植林-コミュニティにおける女性グループを中心とした気候変動対策グループの設置、など。

(参加者の感想、今後の予定など)
どの参加者も非常に熱心で理解度も高く、各コミュニティにおける実践活動へとつながる期待が持てた。

講師としてご参加いただいた北九州市・徳永氏より「言葉は伝わらなくとも、家庭を切り盛りする主婦の方々の環境力が、地球さえも動かす力になるということを改めて実感した」、京都府・佐藤氏より「当研修に参加した約45名フィリピン・ボホール州の女性リーダーは非常に熱心に聴講しており、コミュニティでその得た知識を広げてもらえるという印象を受けた」とのコメントを頂いた。
 
 今後は、各コミュニティでの活動をモニタリングなどで確認して、知識の定着や活動の推進を図っていく予定。また、より広範囲にわたり同様の意識啓発がなされるよう、他でも活用可能な教材の作成予定。

 

 
 
 
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