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2023年1月6日
本ニュースレターは、イクレイのメールニュース配信をご希望いただいた方へお届けしております。
世界125カ国に広がる国際NGOがSDGs達成に向けた国内外の自治体の取組情報をお伝えします! 

生物多様性の損失・劣化など国境を超えた地球規模の環境問題に取り組むには、世界につながることが不可欠です。今回はCOP15第二部の概要とイクレイや会員自治体からの報告をお届けします。

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 Contents 

COP15の成果

2022年12月7日から12月19日、カナダ・モントリオール市で生物多様性条約第15回締約国会議第2部(COP15)が開催されました。延べ189カ国から9,472人が参加しました。

交渉の結果、ポスト2020生物多様性世界枠組として「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。枠組の中で、生物多様性保全の観点から、2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30目標」が定められました。また、自然を活用した解決策(Nature Based Solution)等を通じた気候変動の生物多様性への影響の最小化、ビジネスにおける生物多様性の主流化等の目標が採択されました。

生物多様性のための地方政府、都市、およびその他の地方自治体に関する行動計画

イクレイはこれまで、生物多様性条約締約国に対し、ポスト2020生物多様性世界枠組の実施を強化するための地方政府、都市、その他の地方自治体との関与に関する新たな決定と行動計画(2021-2030)を採択するよう求めてきました。
その結果、COP15の決定には、 生物多様性条約に基づく生物多様性のための地方政府、都市、およびその他の地方自治体に関する行動計画が含まれました。
行動計画は、生物多様性枠組みの中で生物多様性国家戦略の実施を成功させるために、地方政府、都市、自治体の関与を強化することを確実にするための重要なパートナーとして、イクレイを認めています。

第7回生物多様性国際自治体会議(生物多様性自治体サミット)

COP15公式サイドイベントとして、第7回生物多様性国際自治体会議(生物多様性自治体サミット)が生物多様性条約事務局、イクレイ、ケベック州政府、モントリオール市、雲南省の共催で12月11日と12日に開催されました。1,200 人を超える登録者を擁するハイレベル・サミットには、世界中から知事、市長、その他の自治体のリーダーが集まりました。
1日目のオープニングプレナリーでは、会議のスポウンサーであるデヴィッド・タカヨシ・スズキ氏とセヴァン・カリス・スズキ氏(ともに第7回京都殿堂入り者)が感動的なスピーチを行いました。大村秀章 愛知県知事をはじめ20人以上の地方政府・自治体のリーダーを含む35人のハイレベルスピーカーが参加しました。
2日目に開催された調印式で、イクレイと昆明市が共同で設立した「CitiesWithNature 国際エクセレンスセンター」が正式発表されました。CitiesWithNatureセンターは自然保護と生物多様性に関する中国と海外の都市間の実証、相互学習、パートナーシップの構築のための重要なプラットフォームとなることを目指すとともに、地方自治体の技術的能力を高め、新たな世界枠組の実施に向けたコミットメントと行動を促進することを目的としています。
「生物多様性のための行動」にフォーカスした会議の合同メッセージはハイレベル・セグメントに提示されました。

モントリオール宣言にイクレイ日本4会員自治体が賛同

11 月 16 日、モントリオールのヴァレリー・プランテ市長は、生物多様性と生態系の保護を支持する世界中の都市の取り組みを継続し、加速することを目的とした15 の具体的行動につながる宣言を打ち出し、その賛同を世界中の自治体に呼びかけました。モントリオール市長の呼びかけに対し、新たにイクレイ会員となった佐渡市をはじめ、名古屋市東京都横浜市が賛同を表明しました。
モントリオール市長は、内田東吾イクレイ日本事務局長がモデレータを務める12月12日のセッション「GBF実施に向けたアクションのスケールアウトに向けたグローバルな取り組み」で世界47の都市がこの誓約書に署名したことを発表し、生物多様性保全と主流化に向けたメッセージを発しました。

自治体&都市パビリオン

CBD-COPで初めて、地方政府・自治体の行動と機会にフォーカスした専用のパビリオンが設けられ、COP15期間中の12月8日から18 日までさまざまなサイドイベントが開催されました。
12月13日に開催されたチャイナ・デー には、愛知県名古屋市佐渡市が登壇し、生物多様性保全と主流化に向けた取り組みを発表しました。

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会員自治体から報告

【愛知県】COP15第2部に参加

愛知県は、昨年12月にカナダ・モントリオールで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第2部へ参加しました。現地での主な取組内容については、以下のとおりです。
知事ビデオメッセージの発信(2022年12月11日 於:第7回国際自治体会議)

大村愛知県知事ビデオメッセージの発信(2022年12月11日)

第7回生物多様性国際自治体会議(生物多様性自治体サミット)のセッション「影響(Influence)」において、大村愛知県知事からのビデオメッセージを発信し、「新たな世界目標の達成に向けて、RegionsWithNatureやCitiesWithNature等を通じて、世界と情報共有・連携していく」旨を表明しました。

GoLSミーティングの開催

愛知県は、2016年、世界の先進的な広域自治体とともに「愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合(GoLS)」を設立しました。これまでメンバーや支援組織と先駆的取組に関する知識・経験を共有するとともに、COPや補助機関会合等の機会を通じて、生物多様性の主流化や、地方自治体を含む多様なアクターの連携の重要性について、働きかけを行ってきました。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、オンラインでのミーティングにより活動を継続しておりましたが、今回、現地でメンバー・支援組織の皆様との4年ぶりとなる対面でのミーティングを実施し、愛知目標に次ぐ新たな世界目標の達成に向けて声明を発信するとともに、今後も連携を強化していく決意を共有しました。

写真左:GoLSメンバーとの意見交換(2022年12月13日 於:GoLSミーティング)
写真右:会議参加者(2022年12月13日 於:GoLSミーティング)

愛知県の取組の発信

自治体パビリオン等での発表などを通じて、愛知目標の達成に向けて、愛知県がこれまで実施してきた取組について発信しました。主なものとして、2021年4月に創設した「あいち生物多様性企業認証制度」や次世代を担うユースの活動への支援、生態系ネットワーク協議会の活動についてアピールしました。
また、世界の自治体・国際機関関係者との面談の場において、新枠組のもとでの自治体の関わり方などについて、意見交換を行いました。

  • 写真左:「CitiesWithNature and RegionsWithNature: Mobilizing funding, projects, commitment to take action and reporting at subnational levels」における事例発表(2022年12月7日 於:サイドイベント)
  • 写真右:「RegionsWithNature catalyzing biodiversity action and resources for implementation」における「あいち生物多様性企業認証」に関する事例発表(2022年12月10日 於:自治体&都市パビリオン)

12月12日ハイライト

  • 写真左:「Exploration and practice of multi-stakeholder participation in biodiversity conservation and sustainable use」における「生態系ネットワーク協議会」「ユースによる取組」等に関する事例発表(2022年12月12日 於:中国パビリオン)
  • 写真右:CitiesWithNature、RegionsWithNatureイベントにおける認証書授与(2022年12月12日 於:第7回国際自治体会議)

中国の自治体との交流

  • 写真左:チャイナデーにおける「生態系ネットワーク協議会」「ユースによる取組」等に関する事例発表(2022年12月13日 於:自治体パビリオン)
  • 写真右:中国・江蘇省生態環境庁長との意見交換(2022年12月10日)

愛知県とイクレイ及び海外自治体関係者との意見交換

  • 写真左:ジノ・ヴァン・ベギン イクレイ世界事務局長との意見交換
    (2022年12月10日)
  • 写真右:コビー・ブランド イクレイ世界事務局副会長との意見交換
    (2022年12月11日)
  • 写真左:メキシコ・キンタナロー州関係者との意見交換
    (2022年12月11日)
  • 写真右:スコットランド州政府グリーン・スキル循環経済・生物多様性担当大臣との意見交換(2022年12月12日)

12月13日ハイライト

生物多様性条約事務局長エリザベス・マルマ・ムレマ氏とのあいさつ
(2022年12月13日)

【東京都】COP15関連イベントに参加

C40 COP15 Urban Nature Accelerator Workshopに参加

東京都は、12月13日、COP15に合わせてカナダ・モントリオールで開催された、C40(世界大都市気候先導グループ)が主催する「C40 COP15 Urban Nature Accelerator Workshop」に参加しました。
様々な自治体が気候変動対策及び生物多様性保全にかかる目標推進に向けた取組を共有し意見交換を行う中、東京都からは、在来種植栽登録制度「江戸のみどり登録緑地」を生物多様性保全に配慮した民間緑地を拡大する取組として紹介しました。参加者からは、「取組拡大のためには活動主体への経済的なインセンティブが必要ではないか」「 取組の意義そのものを主体に浸透させるための仕組みや広報が必要ではないか」といった意見や、参加自治体が推進する在来樹木による植栽の取組事例を紹介いただくなど、今後の事業展開のヒントが得られた有意義な意見交換の場となりました。

詳細・関連サイト:在来種植栽登録制度「江戸のみどり登録緑地」|日本語英語

【名古屋市】COP15報告

名古屋市はCOP15に併催された第7回生物多様性国際自治体会議(生物多様性自治体サミット)のほか、2つのサイドイベントに登壇しました。
12月10日にスコットランド政府等が主催したサイドイベント「Local solutions to global problems: How the Edinburgh Declaration highlights the critical role of local, regional and subnational governments in delivering the post-2020 global biodiversity framework.」に、杉野副市長がパネリストとして登壇し、名古屋市が代表を務める生物多様性自治体ネットワークの取組み等について発信しました。
12月12日に開催された第7回生物多様性国際自治体会議(生物多様性自治体サミット)では、杉野副市長が「ENGAGE」のセッションに登壇しました。名古屋市の市民協働による生物多様性の取り組みや策定中の2030年までの実行計画について発信しました。
12月13日に自治体&都市パビリオンにて開催された「CHINA DAY」では、名古屋市環境局環境都市推進監の吹上氏が事例発表を行い、COP10以降の名古屋市の市民・事業者との協働による生物多様性保全の取り組みについて発信しました。
また、会期中に生物多様性条約事務局長、昆明市長、パリ市副市長、愛知県とともにスコットランド政府大臣とそれぞれ会談を行い、意見交換を行いました。

イクレイ日本ニュース

第5回特別イクレイカフェ「COP27・COP15報告会」を開催

イクレイ日本は会員自治体の「情報交換」「情報発信」に加え、会員自治体職員の「学びの場」として、定期的にイクレイカフェをハイブリッドで開催しています。また、会員限定サービスとして、イクレイカフェの録画と資料を終了後に配布しています。
 
2022年度第5回特別イクレイカフェでは、11月6日から20日にかけてエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された気候変動枠組条約第27回締約国会議と12月7日から12月19日、カナダのモントリオールで開催されたCBD-COP15の結果概要をイクレイ日本内田東吾が解説しました。
締約国会議(COP)とは何か、COPにおけるイクレイの役割、会場の様子、両COPの成果、裏話などをいち早く披露しました。

詳細

「イクレイ(ICLEI)-持続可能性をめざす自治体協議会」は、
持続可能な社会の実現を目指す2,500以上の自治体で構成された国際ネットワークです。


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