【開催報告】生物多様性条約第16回締約国会議 in コロンビア・カリ
2024年10月21日からコロンビア・カリ市にて開催されていた、国連の生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)が、会期を一日延長し、11月2日に閉幕しました。COP16は期待されたような結論には至らなかったものの、いくつかの力強い成果を達成しました。締約国は、生物多様性保全における先住民および地域社会の役割拡大について合意し、生物の遺伝資源のデジタル配例情報(DSI:Digital Sequence Information)から得られる利益を共有するための新しい世界的メカニズムの運用開始について画期的な合意に達しました。後日、残された議題を完成させるため、別の場所で議論が再開される予定です。
COP16では、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の実施強化において自治体が果たす重要な役割も強化されました。自治体メジャーグループは、10月21日のCOP開会プレナリーで介入し、10月30日のハイレベル・セグメント閉会プレナリーで「第8回生物多様性自治体サミット」の成果を報告するよう要請されました。さらに、「モニタリングの枠組」、「計画、モニタリング、報告、レビューのメカニズム」、「生物多様性と健康」、「セクター内およびセクターを超えた生物多様性の主流化」など、多くの決定事項の中に、自治体の役割と貢献が盛り込まれています。
第8回生物多様性自治体サミットの主な成果
2024年10月26日にプレナリー会場で開催された「第8回生物多様性自治体サミット」は、「あらゆるレベルの政府の参画や協働(Whole of Government Approach)」及び「社会全体の参画や協働(Whole of Society Approach)」を示すものとして広く称賛されました。議論の中心は、GBFおよび「15/12. 昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施を強化するための、サブナショナル政府、都市及びその他の地方自治体の関与」の行動計画の実施を支援することを目的とした、地方および地域の生物多様性イニシアティブでした。
サミットには、81カ国の都市や地域から1,500人を超える代表団が参加しました。彼らのメッセージは明確でした。「話し合いの時間が終わり、私たちはパートナーと協力して実施規模を拡大し、今すぐ自然との共生を実現する必要がある。」
「PARTNERING(パートナーシップ)」、「PROGRESS(進展)」、「PEACE(共生)」という3つのテーマに、世界各地から集まった250人以上の知事、市長等の自治体リーダーが、各国のリーダー、主要なステークホルダー、パートナーとともに、資金調達、実施、報告に関連する重要な問題に直接話し合いました。
日本からは、イクレイ日本の会員自治体である愛知県と名古屋市が登壇し、生物多様性の保全や行政として企業の生物多様性の活動を支援していること等、「自然との共生」の実現に向けたそれぞれの取組を発表しました。また、神戸市と横浜市も現地参加し、両者のCitiesWithNatureへの加盟もサミット内で発表されました。
サミットの様子は、以下の録画映像でご覧いただけます。
サミット録画1:第2パネルディスカッションでは、内田事務局長(01:44:00~)がモデレーターを務め、名古屋市が市の取組を紹介しました。(02:05:20~)録画視聴 |
サミット録画2:愛知県はセッション3のパネルディスカッションに登壇しました。(01:51:17~)録画視聴 |
サミット録画3:自治体、都市、ネットワークなどのエキサイティングな発表に加え、CitiesWithNatureの新加盟都市として、神戸市と横浜市の加盟が発表されました。(2:18:00~)録画視聴 |
▪ COP16でCitiesWithNatureとRegionsWithNatureが節目を祝う
COP16で開催された「第8回生物多様性自治体サミット」では、多くの戦略的発表が行われ、CitiesWithNatureとRegionsWithNatureイニシアティブが大幅に強化されました。COP15以降、新たに100の都市と地域が参加し、GBFと連携したCitiesWithNatureアクションプラットフォームが正式に発足しました。詳細はこちら。
▪ 中国における生物多様性イニシアティブの推進
中国のいくつかの都市は、地域の生物多様性イニシアティブの優れた推進を評価され、「Biodiversity Charming Cities Best Practices」に選ばれました。新たに選ばれたのは、安吉市、北京市、寧波市北侖区、麗水市、天津市寧河区、オルドス市、紹興市、石燕市、厦門市です。詳細はこちら。
▪ 新レポートの紹介「合意から行動へ:生物多様性枠組に対する各国・自治体の実施状況」(英語)
イクレイ都市生物多様性センター(CBC)は、新たなレポートを発表しました。本レポートは、GBFの目標達成に向けや都市や地域の取り組みとその進捗状況を紹介しています。
イクレイが主導するCitiesWithNatureとRegionsWithNatureプラットフォームを通じ、各地で生物多様性保全に向けた具体的な行動が報告され、モニタリング体制が強化されています。また、自治体の重要な役割が再確認され、マルチレベル・ガバナンス、資金調達、能力開発、報告・評価体制の充実が求められています。
本レポートは今後の活動の指針やインスピレーションを提供するとともに、生物多様性条約事務局長が実施補助機関(SBI)に報告する際の資料としても活用されます。レポートはこちらからダウンロードしてご覧ください。