地域の気候変動適応策推進に向けた日米政策対話
イクレイ米国事務局と協力して、地域の気候変動適応策を進めるにあたって役立つ情報や政策立案ツールを収集・整理するとともに、 これら手段の応用を参加自治体と共に検証するなどし、自治体行政における適応策推進の支援を実施しました。また日米から自治体、研究機関、専門家を集めてワークショップを開催し、地域の適応策推進の具体的事例や推進上の課題について意見交換や知識の共有を行いました。日本からは、板橋区、江戸川区、墨田区、米国ではサンディエゴ市、フィラデルフィア市などが参加しました。(国際交流基金日米センター助成事業 2012年3月~2014年2月)
日米セミナー・ワークショップ
日米適応策セミナー(第1回) 2013年1月15日@東京
2013年1月15日(火)に、JICA地球ひろばの国際会議場で日米適応セミナーを開催し、日米自治体の適応策の取り組み紹介、環境省および国交省から国での適応策の進捗状況の報告、各分野の専門家からの発表と議論を行いました。米国からは、2パイロット自治体の取り組みが発表され、マサチューセッツ工科大学のジョアン・カーミン准教授とイクレイ米国のブライアン・ホーランドも参加して、日本の自治体での取り組みへのコメントや研究者とのパネルディスカッションでの議論を行いました。自治体職員、研究者、NGO/NPOや専門機関、企業等の専門家ら約60名が参加しました。
日米適応策セミナー(第2回) 2014年1月27日@カリフォルニア州サンディエゴ市
米国カリフォルニア州サンディエゴ市において、日米自治体と気候変動政策の専門家や地域の関係者が会し、適応策会議を開催しました。セミナー形式の1日目(27日)は、米国側からはサンディエゴ地域で推進される適応計画と関係者間の連携に関する発表や、フィラデルフィア市における適応策の取り組みについて発表がありました。日本の自治体参加者である墨田区と江戸川区は、同区の雨水利用や治水対策に関して現状と適応策の検討について発表しました。さらに、日米共通の課題や推進に向けた方策を議論しました。日米参画自治体、サンディエゴ地域の専門家や行政関係者など約25名が参加しました。
2日目は前日の発表内容を踏まえて、適応策をめぐる日米の違いや共通の課題、今後さらに掘り下げて行くべき点などについて意見交換を行いました。米国では、市単独で推進の難しい課題について、コミュニティ基金や大学などがうまく連携して地域(リージョン)で取り組みを盛り上げていることが特徴的な新しい動きとして着目されました。また、都市レベルで推進体制を維持するには自治体職員のキャパシティ強化が必要という点、住民の意識をいかに向上させていくかなど共通の課題も共有されました。2日目後半は、サンディエゴ市が干ばつ対策として進めている水浄化プロジェクトのパイロットプラントと、適応策計画の検討に最近着手したサンディエゴ空港を視察しました。
資料
本事業で収集整理した政策ツールや事例、ご協力いただいた専門家の先生方によるインプット、論文などを掲載しています。
専門家による寄稿
事業にご参画いただいた専門家の方々より、自治体で適応策を進める上での課題や有効な手法についてご寄稿いただきました。
- 法政大学地域研究センター特任教授 馬場健司
「人々のリスク認知を考慮した気候変動適応策の参加型手法」(PDFリンク) - 東京都環境科学研究所調査研究科主任研究員 市橋新
「適応策の施策化過程に関する課題と解決策~インタラクティブ・アプローチ~」(PDFリンク)
各分野の研究者からのコメント
地域レベルで適応策をどのように進めるか。
事業にご協力いただいた研究者の皆様から、適応策の地域における推進にすいてコメントをいただきました。
- 法政大学 田中 充
- 筑波大学 本田 靖
- 都市緑化機構 外崎公知
- 九州大学 小松利光
- 海洋研究開発機構 高橋桂子
- 電力中央研究所・法政大学 馬場健司
2012年度事業報告書
- 報告書本文
- 参考資料1、2、3、4