持続可能な社会への移行に向けて:G7各国環境大臣と市長との対話はじまる
2016年5月15日(日)と16日(月)の2日間にわたり、G7富山環境大臣会合(富山県富山市)が開催されました。
ここでは、近年、重要性が増している「都市の役割」が、「気候変動及び関連施策」、「資源効率性・3R」、「生物多様性」、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」といったG7環境大臣会合の常連の議題と並び、初めてとりあげられました。背景には、持続可能な社会への移行や、気候変動における都市の取組み(緩和策と適応策)の重要性が、昨年9月に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」や、12月に採択された「パリ協定」などで、あらためて強調されたことがあります。イクレイは、都市間協力を推進するグローバルネットワークとして招待を受け、ウォルフガング・トイブナー欧州事務局長が、地球環境ファシリティ(GEF)などとともに一連の会議に参加しました。
初日の15日(日)に開催された自治体首長による「都市の役割」パラレルセッションでは、「都市が果たすべき役割」と「都市を支援あるいは都市と連携・協働するために中央政府が果たすべき役割」についての熱心な議論が行われました。日本からは富山市、北九州市、東松島市が、各国からは、ブリストル市(イギリス)、フィレンツェ市(イタリア)、フランクフルト・アム・マイン市(ドイツ)、バンクーバー市(カナダ)、ヴィトリー・ル・フランソワ市(フランス)の市長が参加しました。(太字はイクレイ会員都市)
「交通網の近代化とコンパクトかつ強靭なまちづくり」、「地域資源を活用した低炭素で強靭なエネルギー需給に係る取組」、「都市の先進事例の共有と都市間連携の促進・国際機関の果たす役割」の3つのテーマについて活発な議論が行われ、翌日の朝食セッション(市長と大臣たちの円卓形式)で大臣たちに伝えるためのメッセージを含む、共同議長サマリーがとりまとめられました。
16日(月)に開催された朝食セッションでは、パラレルセッションの共同議長をつとめた森雅志富山市長から、中央政府への期待として「持続可能な社会への移行を実践する自治体による先進的な取組の認知・支援・ショーケース」、「自治体ネットワークの促進と新たな都市の参画の奨励」、「都市の役割の主流化」の3点が伝えられ、さらに将来のG7環境大臣会合でも首長と大臣との対話が実現することへの期待が示されました。さらに、100%再生可能エネルギーへの早期移行を念頭においた「国と自治体政策の整合の重要性」(グレゴール・ロバートソン バンクーバー市長)、「化石燃料への補助金の速やかな廃止と再生可能エネルギーへの投資の必要性」(ジョージ・ファーガソン ブリストル市長2012-2016)、また「途上国の自治体の能力開発支援の重要性」(石井菜穂子GEF CEO兼議長)などの意見が紹介されました。
これらのメッセージをうけて、G7富山環境大臣会合の成果文書であるコミュニケ(共同声明)には、「都市や準国家主体の役割の重要性」と「都市における先進的な取組の促進」に関する2つのパラグラフが盛り込まれました。
なお、イクレイ日本からは浜中裕徳理事長がパラレルセッションの共同議長として、藤野純一顧問と大塚隆志事務局長が共同議長サマリー草案チームとして、会議の運営に貢献しました。
関連情報
- 【環境省】G7富山環境大臣会合の結果について
概要、コミュニケ(共同声明)など
http://www.env.go.jp/press/102546.html - パラレルセッション「都市の役割」
議長サマリー、当日資料など
http://www.iges.or.jp/jp/pmo/20160515.html
(写真提供:藤野純一)