プラスチックの未来を変える! INC-2で都市と地方からの声が響く
2022年に開催された第5回国連環境総会(UNEA5.2)では、各国が2024年までに拘束力のある世界的なプラスチック条約の制定に合意しました。この条約の策定プロセスは政府間交渉委員会(INC)が主導し、2022年12月にウルグアイでの第1回交渉(INC-1)が開催されました。
プラスチック汚染は地方自治体や都市にとって深刻な問題であり、都市中心部で発生するプラスチック汚染の約60%が海に流れ込んでいるとされています。国連ハビタットの調査によれば、ナイジェリアのラゴスではスラム街の廃棄物の40%がプラスチック由来であり、都市全体の平均の10%よりも高い割合です。
このような状況を受けて、国連環境計画(UNEP)とパリ市、イクレイなどが共催して「都市におけるプラスチック汚染をなくすためのパリ国際フォーラム」を主催しました。このフォーラムでは、地方自治体や準国家のリーダーが集まり、プラスチック汚染への対策についてのベストプラクティスを共有しました。さまざまな都市での取り組みが紹介され、ケソン市では使い捨てプラスチックの禁止が行われ、アンビカプール市ではプラスチック廃棄物を食事と交換する取り組みが行われています。
また、31日に開催されたサイドイベント「地方、国、地域レベルでの変化を可能にする」には、北九州市が登壇し、プラスチックを含む廃棄物管理の改善に関する経験や国際都市間の協力の事例を紹介し、高い評価を受けました。
INCプロセスでは、都市と地方政府の関与と認識を高めるための努力も行われています。INC-2では、関係者による冒頭陳述が許可され、地方自治体や都市からは、プラスチック問題に関連するサービスの管理に参加する必要性が訴えられました。
INC-2では、条約策定のための手続きルールの議論も行われました。一部の加盟国は、プラスチックが本質的に悪い材料ではなく、廃棄物管理に焦点を当てるべきだと主張しました。一方、他の国は環境中の既存のプラスチック廃棄物の管理だけでなく、ライフサイクルアプローチを重視すべきだとの立場を取りました。
INC-2の結果、条約のゼロ草案の作成が締約国に義務付けられました。この交渉プロセスにおいて、都市と地方政府の意見の重要性が認識され、INC-2のサイドイベントや地方自治体代表者の発言からも、地方レベルでの実施やマルチレベルのガバナンスの重要性が強調されました。
INCプロセスにおいては、国連事務総長の国際廃棄物ゼロ諮問委員会や他の関連する国連プロセスやUNFCCCの文脈での活動を支援し、都市と地方政府の関与を推進することが重要視されています。