【開催報告】第23回締約国会議(COP23)in ドイツ・ボン

COP23における自治体の活動:開催報告

世界の自治体、COP23でパリ協定の実現に向けた取組の加速と連携の決意を固める

11月6日~17日にドイツ・ボン(議長国:フィジー)で国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)が開催され、2018年のCOP24で採択が予定される「パリ協定に実行性力を持たせるためのルール(実施指針)」が話し合われました。

各国が目標達成を実施するだけではパリ協定が掲げる2度目標には届かないことから、自治体や企業などの「非国家主体(non-state actor)」含め、全ての主体が連携し、さらに野心度を向上し、気候変動対策の強化と加速化が求められています。都市や地域への期待が高まる中、COP23では自治体が世界規模の気候変動対策への貢献に意欲的であり、様々なステークホルダーと連携しながら取組を進めていく決意を表明しました。


首長による気候サミット

中でも、11月12日に開催された、世界およそ60カ国から330名を超える自治体首長を含む約1,000人以上が集結した「首長による気候サミット(Climate Summit of Local and Regional Leaders)」が注目を浴びました。

ボン市、ノルトライン=ヴェストファーレン州、ドイツ連邦政府と協力し、イクレイが運営した同サミットは、COP21(於:パリ)、COP22(於:マラケシュ)と開催を重ねてきたもので、今回初めてUNFCCCの公式会場内で開催されました。また、COP22で設立された、都市、地域、ビジネス、投資家らが国家政府と協働し気候変動対策の取組を高めて行くための枠組である「地球規模の気候行動のためのマラケシュパートナーシップ(Marrakech Partnership for Global Climate Action)」との共同イベントとして位置づけられました。

サミットで特に注目されたのが、米カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事でした。米国トランプ大統領によるパリ協定からの離脱表明があった中、ブラウン知事は自治体による取り組みの重要性を強調し、「カリフォルニアはトランプを待っていない。気候変動対策に本格的に取り組むため、できることは全て実施する」と決意を述べました。

アーノルド・シュワルツェネッガー(前カリフォルニア州知事/広域自治体による気候変動対策を支援する団体「R20 – 気候アクションの地域」の創設者も登壇。「都市、州や県などの広域自治体は、特に力を合わせた時に、とてつもなく大きな力を持っている。都市や地域は、改革のための実験室(ラボ)、イノベーションを創出する原動力(エンジン)、行動(アクション)が実践されている場所である」と述べました。

またサミットでは、「気候変動とエネルギーに関する『世界首長誓約』」に参加する自治体が集い、連携の重要性についてアピールしました。121カ国から7,400以上の自治体が参加する気候変動対策に関する世界最大の都市間連携である「世界首長誓約」には、COP23に日本から参加した広島市、富山市、横浜市、東京都、豊田市、岡崎市 も参加しており、日本の自治体を牽引する存在として、さまざまな気候変動対策を国内外で展開しています。

サミットの成果として、「パリ協定の達成に向けた自治体首長によるボン・フィジー宣言(The Bonn-Fiji Commitment of Local and Regional Leaders to Deliver the Paris Agreement At All Levels)」が採択されました。パリ協定の達成に向けて「縦」と「横」のパートナーシップを強化するための自治体首長の決意が表明されました。

サミット写真集


日本のイクレイ会員自治体の活動

COP23には、広島市、横浜市、富山市、東京都、豊田市が参加しました。

広島市:松井市長がサミットに参加・ボン市長と対談

広島市の松井市長に「首長による気候サミット」ご参加いただき、世界の自治体首長と交流され、COP23の主催地であるボン市のシドラハン市長とも対談を行いました。現地では、「平和を追求することと環境問題を解決することは、理想を掲げて世界と協調して取り組まなければならない」と述べられました。(出典:2017年11月13日NHKニュース)


東京都小池知事からサミットへのビデオメッセージ

サミットには参加が叶わなかった小池知事から、応援ビデオメッセージをいただきました。小池知事は「都市の力は世界を動かす」と述べ、力強いメッセージがCOP23会場で発信されました。

ビデオメッセージ


横浜市:脱炭素社会に向けた構造改革:産業、都市、国の役割

11月14日ジャパンパビリオンで開催されたセッション(イクレイ共催)で、横浜市温暖化対策統括本部企画調整部担当部長 大倉紀彰氏が環境未来都市・横浜の取組をご紹介いただき、ドイツ及び日本の企業・自治体の方々と産業・都市・国の連携に関する議論にご参加いただきました。

詳細(ジャパンパビリオン)


富山市:持続可能でレジリエントな東アジア地域の都市に向けた変革をもたらすローカルアクション

イクレイが運営する「都市と地域パビリオン」で東アジアの自治体による取組をハイライトするセッションで、富山市未来戦略企画監 山添俊之氏にご登壇いただき、コンパクト・シティの取組やインドネシア等との都市間連携事業についてご紹介いただきました。

同セッションでは、東京都市大学 馬場健司教授による日本の自治体による適応策のご紹介と、京都市からイクレイ日本に出向している河合 要子氏によるKYOTO+20などの京都市の取組発表も含まれました。

詳細(IISDセッション報告)


都市と地域:脱炭素でレジリエントな未来へのパイオニア

「首長による気候サミット」に参加された自治体の生の声を届けるためのセッション(イクレイ主催)をジャパンパビリオンで開催し、東京都、富山市、ボルダ―市(米国)、トゥルク市(フィンランド)にご登壇いただきました。世界はパリ協定の実現に向けて「交渉」から「行動」の時代に突入し、政府、自治体、企業などあらゆる主体の連携(マルチレベルガバナンス)が必要不可欠であると、力強いメッセージをいただきました。

詳細(ジャパンパビリオン)


タラノア対話:今後も期待される自治体による貢献

自治体に関わるCOP23の成果の一つが、タラノア対話(2018年の促進的対話)の実施の合意があげられます。

「タラノア」とは、包摂的、参加型さらに透明性を担保した対話につとめる、フィジー及び太平洋地域における伝統的なアプローチです。

2020年までに各国が削減目標の提出又は更新を求められている中で、タラノア精神にのっとり、自治体を含むあらゆるステークホルダーの参加のもと「2018年の促進的対話」が積極的に進展することが望まれています。こうしたプロセスを通じて、より高い国別目標の設定に向けた機運を高めて行くことが期待されています。

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