【開催報告】気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)in ブラジル・ベレン

ブラジル・ベレンで開催されたCOP30は、緩和や資金など、パリ協定の実施にとって重要な分野・事項を横断的に取り上げた「グローバル・ムチラオ決定(Mutirao Decision)」が採択され、閉幕しました。グローバル・ムチラオ決定を含む主要議題の決定をまとめた「ベレン・ポリティカル・パッケージ」の詳細はこちら(2025年11月25日環境省報道発表)

イクレイは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が指定する9つの非政府の利害関係者グループの一つ、「地方自治体(LGMA:Local Governments and Municipal Authorities)」を代表してCOP30に参加し、パリ協定の実施の中心に都市を据えるべきであること等を訴えました。

「グローバル・ムチラオ決定」では、地方自治体を含む非締約国関係者が、気候変動への対応と対策に取り組んでいることを歓迎すると明記されました。これは、COP30以降における多層的行動や都市による取組をさらに前進させるための貴重な基盤となります。また、緩和ワークプログラムや適応において、多層的行動への言及が増えていることも注目に値します。しかしながら、認識や言及にとどまるだけでは不十分です。気候変動対策の実行者である地方自治体をベレン・ポリティカル・パッケージの中心に置かないことは、まさに加速が求められるこの瞬間に、国家レベルの移行のペースを鈍化させることになります。

イクレイは、地方自治体による気候行動が国際的な気候変動の枠組みに制度的に組み込めるよう、引き続き求めていくとともに、すべての国やパートナーと協力していきます。


<地方自治体に関する主な活動>

🌍COP30 議長国プレス会見

11月11日、COP30のアナ・トニCEOがリードするCOP30議長国記者会見に、スウェーデン・マルメ市長であり、イクレイの会長であるジャメ会長がブラジルのフィリョ都市大臣や米国・カリフォルニア州のニューサム知事と共に登壇しました。

ジャメ会長は、気候危機の緊急性と、地域レベルのリーダーシップに見いだされる希望について語るとともに、気候科学はこれまで以上に明確であり、その影響は人々の日常生活においてますます目に見えるものになっていると強調しました。また、カリフォルニア州のニューサム知事は、米国政府がCOP30に欠席する中、カリフォルニア州は、率先して気候変動対策を推進していくことを力強く発信しました。両氏は、住民からの信頼を持って気候変動対策を推進することにより、環境問題の解決に資する雇用(グリーン・ジョブ)が生まれ、自治体の持続的な発展に繋がるという考えを示しました。

ジャメ会長は最後に、「自治体は何をすべきか分かっており、実行する準備もできている。国のリーダーの力強い支援があれば、私たちはこの仕事をやり遂げる。」と述べ、COP30締約国の交渉に期待を寄せました。📹録画はこちら

📑LGMA COP30共同ポジション

地方自治体を気候変動対策の実施主体として位置づけ、その力を強化することを求めた「LGMA COP30共同ポジション」をイクレイが中心となってまとめ、COP30 の開幕前から賛同者を募集しました。最終的に、本共同ポジションは、50を超える都市ネットワークから支持れ、世界中の数万に及ぶ地方政府を代表するものとなりました。日本からは指定都市市長会が賛同しています。
👉LGMA COP30 共同ポジション(仮訳)

LGMA COP30共同ポジションのポイントは以下のとおりです。

1️⃣多層的及び都市化に関するUNFCCCの作業計画の策定に向けて取り組むこと
2️⃣地域ニーズを反映した適応指標の整備
3️⃣公正な移行(Just Transition)における地方自治体の役割の認識
4️⃣地方自治体による気候資金への直接アクセス
5️⃣多層的気候ガバナンスと国連改革(UN80)との連携

🤝COP30 ローカル・リーダーズ・フォーラム

COP30開幕直前の2025年11月3日~5日まで、ブラジル・リオデジャネイロにおいて、COP30議長国ブラジル及びブルームバーグ財団主催の「COP30ローカル・リーダーズ・フォーラム」が開催されました。

世界中の知事や市長、地方自治体関係者が一堂に会した本フォーラムには、イクレイ加盟自治体では、東京都及び横浜市が参加しました。イクレイのジャメ会長は、共同議長の一人として参加し、「COP30ローカル・リーダーズ・フォーラム共同成果声明」に賛同しました。本声明では、COP30における各国政府への3つの提案を訴えています。

  • 実施での連携:各国が共同で取り組み、公正かつ強靭な移行を進めることで、国レベルの気候目標達成を支援する。
  • 資金の活用: 2,500件を超える実行可能な地域プロジェクトを通じて、緩和・適応のための気候資金を地方に還元し、効果的に活用できる仕組みを構築する。
  • 責任の強化: 多層的な協力を進め、COPプロセスを実施と説明責任の場とするため、LGMAをはじめとする地方リーダーとともに、あらゆる政府レベルでのパートナーシップを深化させる。

ジャメ会長は、11月7日にベレンで開催された世界リーダーズフォーラムにおいて、パリ市のイダルゴ市長やベレン市のノルマンド市長らとともに、本共同声明を国連のグテーレス事務総長に手交しました。


都市と地域ハブ(Cities & Regions Hub)

COP30の会場内には、国連ハビタット(国連人間居住計画)とイクレイが共同で企画・運営し、ブラジル都市省(Ministry of Cities)が主催するセミナー・スペース「都市と地域ハブ(Cities & Regions Hub)」が設けられ、世界中の市長や地域リーダー等が登壇するセミナーが開催されました。

11月13日に開催されたセミナー「タウンホールCOP:あらゆるレベルでの気候行動をつなぐ」には、東京都小池百合子知事がビデオ登壇し東京都の先進的な気候変動対策や10月に日本初のタウンホールCOPとして、「TIME TO ACTフォーラム2025」を開催し、都市が行動を加速していることを発信しました。

ジャパンパピリオン

🔷セミナー

環境省がCOPO30会場内に設置したジャパンパビリオンにおいて開催されたセミナー「クリーン・シティ・パートナーシップ・プログラムセミナー」に、11月12日、富山市藤井 裕久市長が登壇しました。富山市は、チリ共和国サンティアゴ首都圏州レンカ区と都市間連携事業を実施しており、藤井市長は、レンカ区のカストロ区長と共に、市民参加を重視し、持続可能な都市づくりに向けた官民連携のモデルを構築していること等を発信しました。詳細はこちら

🔷バーチャル展示

環境省が設けたオンライン上の展示(バーチャル展示)として、北九州市による展示「日本を代表するサステナブルシティ『北九州市』を支える“利他”と“再生”」が採択されました。

バーチャル展示へのアクセスはこちら。ページ内の動画はこちらからご覧いただけます。


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