COP29に参加して
イクレイ日本 理事長
竹本和彦
2023年11月、アゼルバイジャンの首都バクーにおいて開催された気候変動枠組条約COP29に参加しました。
ICLEI日本は、IGESと共同して「マルチレベル気候行動を通じた循環共生型社会の実現に向けた取組」と題する国際セミナーを開催しました。このセミナーは、COP28(2023年ドバイで開催)において、気候変動対策の推進にあたり政府機関と地方自治体の連携強化を図ることを目指し採択された「高い野心のマルチレベルパートナーシップ連合(CHAMP)」イニシアティブの実施を更に発展させることを目的としたものです。
このセミナーでは、東京都の小池知事及びさいたま市の清水市長をはじめとするイクレイ世界ネットワークのリーダーにご登壇いただき、それぞれの自治体における先進的な取組が報告されるとともに、ハイレベルの意見交換を通じ、①深刻化する気候変動危機により直接影響を受ける市民生活を守る立場の地方自治体こそが、気候変動対策の推進において中心的役割を果たすこと、②自治体間同士の協力強化とともに、③上述のCHAMPイニシアティブの実効ある実施を目指して、各国政府機関と自治体の更なる連携強化が訴えられました。
また、さいたま市が主催した「Urban7 E-KIZUNAハイレベル対話」では、2023年、指定都市市長会とイクレイ日本が協働して開催した「U7市長サミット」やG7環境・エネルギー大臣会合における決定を受けて開催された「Roundtable on Sustainable Climate Actions」(G7ラウンドテーブル)の成果などが共有されました。
このイベントでは、Urban7(U7)の連携の広がりについて国際社会における評価が確立しつつあるとの指摘もあり、今後は、G7のエンゲージメント・グループとしての参加資格を取得すべきとの議論が進みつつあります。また、この会議を主催したさいたま市の清水市長から、本ハイレベル対話に参加された関係自治体や政府機関との連携の下、同市が推進している国際イニシアティブを一層発展させていくとの力強いメッセージが会場全体に広く共有されたのが印象的でした。
今回のCOP29への参画を通じ、気候変動対策推進における地方自治体と政府機関との連携は、ちょうど総論から各論に移行していく途上にあり、国家の政策立案と都市レベルの事業実施の双方のよりきめ細かな連携を進めていくことが、世界の目標達成のために不可欠となっていることを実感するとともに、世界の気候変動対策に携わる幅広い層の主体間の連携強化の一翼を担うイクレイ日本としての責任を痛感した次第です。