持続可能な都市を目指すイクレイ海外の会員自治体の取り組み
英国グラスゴー
グラスゴー市は英国スコットランド南西部に位置する都市で人口は約63万人(2019年)、スコットランド最大の都市です。 グラスゴー市は英国で最も雨の多い地域の1つですが、気候変動の影響で、暴風雨や熱波などの自然災害が激甚化する可能性があります。
かつて産業革命の恩恵を受けたグラスゴー市は、2050年までにネット・ゼロを達成するという英国の目標に先駆け、2030年までに達成するという目標を掲げ、自転車の利用促進や建物の省エネ化を進めています。その結果、グラスゴー市の1人当たりのCO2排出量は約4 t-CO2まで削減しました(英国の平均は5.8 t-CO2、日本の平均は8.9 t-CO2)。
2021年3月、環境省が主催した脱炭素都市国際フォーラムに、グラスゴー市リーダーであるスーザン・エイトキン氏が登壇し、「気候変動対策のための行動を実現するのは都市である。都市は市民や投資家と協力することが重要。グラスゴー市は環境への取り組みを通じて、コロナからの復興と社会的・経済的な変革を得ることができる」と述べました。
2021年6月、グラスゴー市は、「クライド・クライメイト・フォレスト(気候の森)」という2030年までに、炭鉱跡地や空き地、道路などに1,800万本の木を植林する計画を発表しました。このプロジェクトには、グラスゴー市だけでなく周辺の8つの自治体が参加しています。 このプロジェクトにより、グラスゴー市は2030年にはCO2の排出削減だけでなく、大気中のCO2を年間1,929 t-CO2(※)吸収し、開発によって分断された地域の森林を回復させ、住民に社会的・経済的利益をもたらします。
クライド・クライメイト・フォレストをはじめ、グラスゴー市がコミュニティや組織を巻き込むことで、ネット・ゼロの達成に重要な役割を果たすことになります。
※吸収量(炭素トン/年)=幹の体積の増加量(m3/年)×拡大係数×(1+地上部・地下部比)×容積密度(トン/m3)×炭素含有率
地下部・地上部比及び容積密度は樹種によって異なり、現在は将来の幹の体積の増加量を推定することが不可能なため、長野県『居住地の緑化ガイドライン~みどりの回廊づくり~』第四章p.69を参考に単純な仮定の下で試算しました。
自然樹形の広葉樹(20年生まで)のCO2吸収量=8 kg-CO2/年
2030年に1,800万本植えた場合、8 kg-CO2×1,800万本=144,000 t-CO2
また、地表には0.4~0.1kal/cm2の熱が届きます。森林は太陽から地表に届く熱量を100とした場合、その樹木の蒸散によって約6割を緩和します。
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