生物多様性自治体セミナーに6自治体が参加!

2025年5月22日の国際生物多様性の日を記念し、国連大学サステナビリティ高等研究所(UNU-IAS OUIK)の協力のもと、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)にて「生物多様性自治体セミナー」を開催しました。
本セミナーには、イクレイ都市生物多様性センター(CBC)のディレクターであり、生物多様性条約締約国会議(CBD-COP)に自治体代表として参加しているイングリッド・コッツィーをゲストスピーカーとして迎え、イクレイ加盟の愛知県、神戸市、さいたま市、東京都、名古屋市、横浜市の6自治体、計16名が参加しました。
CBCは、生物多様性条約に係る自治体の声を代表する組織で、生物多様性条約事務局とのフォーカルポイントです。CBCは、イクレイのアフリカ地域事務局内に設置されており、イングリッドは、イクレイの生物多様性、自然と健康ディレクターでもあります。
第1部では、イングリッドより、生物多様性の保全に係る国際的な動向について発表がありました。特に自治体向けの情報として、2022年12月のCBD-COP15において採択された文書「決定15/12.昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の実施を強化するためのサブナショナル政府、都市及びその他の地方自治体の関与」について言及し、生物多様性条約が、リオ3条約の中で唯一、多層的ガバナンスの仕組と、自治体が地球規模の生物多様性目標に貢献するための行動計画を備えた条約であることが強調されました。
また、自治体がGBFや生物多様性国家戦略(NBSAPs)の実施に貢献するための公約を報告し、その進捗を追跡できるオンライン・プラットフォーム「CitiesWithNature & RegionsWithNature」の紹介をしました。
CitiesWithNatureアクションプラットフォームは、生物多様性条約事務局公認のプラットフォームです。CBCでは、生物多様性条約事務局と協力し、本プラットフォームに入力されている自治体の公約や取組が2026年のCBD-COP17における進捗レビューに反映されるように努めています。今回のセミナーに参加した愛知県、神戸市、名古屋市、横浜市は既に本プラットフォームに登録しており、そのほかの日本の自治体による登録を呼びかけました。
第2部では、参加自治体がそれぞれの生物多様性の取組を発表しました。様々な施策等の発表がありましたが、ここでは一部だけご紹介します。
昨年のCBD-COP16に参加した神戸市は、「30 by 30」目標の達成を示す革新的な生物モニタリング手法として、環境DNA(eDNA)解析の取組等について発表しました。東京都は、都民によるいきもの調査等によって収集された「市民科学データ」、種の分布記録に基づく「標本・文献データ」、および「有識者による観察記録データ」を、観察の時期や場所の情報と組み合わせて統合するデジタル版 野生生物目録「東京いきもの台帳」を紹介しました。2010年CBD-COP10の開催都市で、日本における生物多様性施策を牽引する名古屋市は、自然共生型の都市づくりを推進するための地域におけるステークホルダーとの連携について言及し、企業等の参画を促す連携プラットフォーム「なごやネイチャーポジティブパートナー」を紹介しました。横浜市は、「横浜みどり税」を通じた緑地保全の取組等を説明したほか、2027年に開催予定の国際園芸博覧会GREEN×EXPO2027について紹介しました。
イングリッドからは、各自治体が、住民と向き合いながらそれぞれの地域特性を踏まえた取組を進めていることは、世界的に見ても優良事例であり勇気づけられたとの講評がありました。参加者同士の交流もでき、有意義な時間となりました。