生物多様性サミット2014、多階層の自治体に生物多様性を広める
2014年10月12日~14日、韓国・江原道平昌(カンウォンド・ピョンチャン)にて、2014生物多様性サミットが、生物多様性条約第12回締約国会議(CBD COP12)と同時に開催されました。サミットでは、多階層での政治機関の協力、そして持続可能性を目指す生物多様性に関する事業が促進されました。本イベントは、イクレイ(ICLEI)-持続可能性を目指す自治体協議会と、江原道(カンウォンド)政府、そして生物多様性会議事務局(Convention on Biological Diversity: CBD)が運営主体となり、世界53カ国、約600名の参加者を迎えました。参加自治体は、約270にのぼり、40の都市とその代表者(役人、首長、副市長、理事)、国家機関・国際機関・国連機関の代表者、各分野の専門家が集まるものとなりました。
本サミットでは、前回のCBD COP11(インド・ハイデラバード市にて開催)からの進捗状況の棚卸を行った上、最新のツール、イニシアティブ、協力関係の概要を提示し、都市に自然を取り戻す意義について、全体を通じて一貫して強調されました。
CBDへ出向中のイクレイ社員であるAndre Mader氏は、本サミットに関してこのようにコメントを残しています。「このサミットは、私たちの目指す目標にへの前進として、特に重要な機会です。当日は、私たちが期待していた以上のものでした。ほぼ全ての国の政府が出揃い、政策の進め方について議論を交わしていました。Braulio Ferreira de Souza Dias CBD幹事からの言葉を繰り返すと、“この会議では、あなた自身、そして他参加者へのチャレンジの機会として活用して下さい。この会議をあなたの都市、自治体、機関、または国家の軌跡のマイルストーンとして見てもらって結構です。そして同じ志を持つ人々との交流で、刺激やひらめきを受け取って行って下さい。”」
サミットにて取り扱われたテーマは多岐にわたり、各分野の専門家、都市や自治体の代表者の議論を呼びました。「科学、政治界の繋がり」、「創造的グリーン経済」、「生物多様性計画」、「愛知目標の実践」等が挙げられる。そして終わりには、首長/政治家との円卓会議が開かれ、自治体統治と政策への生物多様性の主流化という分野において、選ばれた都市と自治体の強力なリーダーシップが発揮されました。「今、生物多様性は国際会議の場で優先事項として主要な議題として扱われるべき時代が来ています。それにより、地球規模で起きている種の大量絶滅を止める努力をするべきです。私自身、首長として、変化を起こすことができる。そしてあなたにも。」と、Troy Pickardオーストリア・ジューンダラップ市名誉市長がコメントを残しています。
サミットの主な成果物として、都市・自治体向けの江原道/平昌決議が挙げられます。これは、都市・自治体間の協力精神を謳っており、都市の生物多様性の保護に関するもので、本決議は、各都市・自治体の名のもとCBDに提出され、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal: SDG)取組への支援具体策として活用されることが目的としています。特に、都市SDGの単独目標(目標11)と、生物多様性保全(目標15)においての支援具体策となります。「この決議を通して、世界中の自治体のその意志と誓約が、COP12期間中のハイレベル会合においてしっかりと受け止められるでしょう。」と、Yeonman Jeong韓国環境副大臣が強調しました。
また、David Cadmanイクレイ会長も、「江原道/平昌決議は、強力で刷新的な決議であり、対話という厳密な土台と、あなたたちの誇るべき合意の上に成り立っています。私たちイクレイは、Moonsoon Choi栄誉長官を、CBD COPハイレベルグループへ、本決議の提出者として選出されたことから、彼を支援します。」文書の最終版を手渡しながらこのように述べました。