【開催報告】気候変動枠組条約 第26回締約国会議(COP26) in 英国・グラスゴー

英国・グラスゴーで開かれていた気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、石炭火力発電の段階的な削減や気温上昇を1.5℃に抑える目標を維持する「グラスゴー気候合意」を採択し、13日(日本時間14日)に閉幕しました。
グラスゴー気候合意では「(自治体や企業等の非政府主体の行動を強化する)オブザーバ組織の役割が重要」である旨、言及されています。
また、パリ協定のルールブックが完成し、UNFCCCを通じて各国が炭素クレジットを取引するための強固な枠組みを定めた各ルールが合意されました。

イクレイ日本が主催・共催・協力したイベント

LGMAマルチレベルアクションパビリオン開設

第1回締約国会議(COP1)以来、イクレイはUNFCCC公認の自治体関連団体(LGMA)として、UNFCCCプロセスにおいて地方政府と地方政府の声を代表してきました。
2021年にグラスゴーで開催されたCOP26の期間中、LGMAは31日のプレスリリースを皮切りに、マルチレベルアクションパビリオンを開設し、1日のハイレベルセッション・ダイアログをはじめ60以上のセッションを開催し、自治体の取組みや役割、国との連携強化の必要性を発信しました。

Time4MultilevelAction Dialog 気候危機の時代における自治体の取組-東アジア、オセアニアから(11月3日 17:30~18:50(JST))〔共催〕

本サイドイベントでは、東アジア及びオセアニアから、グローバルな気候変動対策を成功させるための自治体の先進的な行動を紹介しました。イクレイ日本事務局長の内田東吾がモデレーターを務め、富山市の藤井裕久市長(オンライン)、横浜市が登壇し、ゼロ・カーボン達成に向けた方針や、先進的な取組みを紹介しました。

地方政府の声を聞く:生物多様性に関するエジンバラ宣言から学ぶ(11月6日 23:30~1:30(JST))

生物多様性条約は、自治体が地球規模の生物多様性の目標と目標を達成する上で重要な役割を果たすことを正式に認めています。その上で、エジンバラ宣言は、生物多様性締約国に対し、2022年第15回締約国会議第2部で地方行動計画を採択するよう求めています。
スピーカーとパネリストは、地方レベルで生物多様性と気候変動対策を講じた経験を共有し、参加者と気候変動と生物多様性の危機に対処する上での自治体の重要な役割について話し合いました。

ジャパン・パビリオン

環境省は、日本の環境技術力を国内外に発信するため、10月31日〜11月12日展示やサイドイベントを実施するジャパン・パビリオンを開催しました。イクレイ日本は、環境省が開設したジャパン・パビリオンで環境省とイベントを共催するなど、日本の先進的な自治体の取組みを紹介し、twitterでも随時情報を発信しました。

脱炭素都市の実現に向けた先進的な取組(11月2日22:00~23:30(JST))〔共催〕

本セッションでは、脱炭素化に向けた都市の取組を世界的に加速させることを目的に、国内外の多様な都市及び関連団体を招き、先進事例を共有し、都市間連携の強化等によって地域版脱炭素ドミノをいかに起こしていくか、イクレイ会長であるデモイン市のフランク・カウニー市長も交え議論をおこないました。
横浜市の高橋部長が現地のパビリオン会場に登壇し、日本国内の自治体の取組みや事例、国内外の自治体との連携などを紹介しました。また、オンラインで登壇した長野県の阿部守一知事は長野県ゼロカーボン戦略や多様な主体との連携の重要性について発表しました。北九州市の北橋健治市長は北九州市のゼロカーボンに向けた取組について共有しました。

地域の脱炭素に向けたマルチステークホルダーの役割(11月10日 19:00~20:30(JST))〔共催〕

脱炭素社会の実現のためには、地域の特性に応じて様々な関係者・セクターを統合し、計画立案から対策実施までを実施する取組の促進が必要不可欠です。

日本は、地域脱炭素ロードマップの作成等、国と自治体が一丸となってマルチレベルで取組を進め、都市間連携による脱炭素ドミノ創出、脱炭素都市国際フォーラムの開催による情報共有等により、海外都市の脱炭素化の促進に貢献してきました。

今後は米国や国際機関とも連携した脱炭素都市の協力も進めていくために、環境省は米国との新たな枠組み「日米国際ゼロカーボン地方促進イニシアティブ」の創設を発表しました。

イベントには、山口壯環境大臣、リーガン米国環境保護庁長官等が参加し、パネルディスカッションでは京都市門川大作市長が登壇し、2050年CO2排出量正味ゼロに向けた京都市の取組などについて共有しました。

その他イクレイ日本会員自治体が協力したイベント

英国パビリオンサイドイベント

”Local Leaders Change the National Net Zero Conversation; How In-Country Local Government Networks Accelerate Climate Action”(11月11日 18:00~19:00(JST))

京都市は、気候変動対策に関する英国の自治体ネットワーク「UK100」が主催し、英国、国際的なネットワーク、地方自治体の野心的な気候変動対策を紹介するCOP26サイドイベント「Local Leaders Change the National Net Zero Conversation; How In-Country Local Government Networks Accelerate Climate Action”(地域のリーダーが国のネットゼロに向けた議論を変える:国内の自治体ネットワークが気候変動対策を加速する方法)」に参加しました。

イベントには、世界各国の自治体ネットワーク関係者等が参加し、京都市門川大作市長は、イクレイ日本の会員(東アジア地域理事会議長)としてビデオメッセージで国際ネットワークに参加する意義や重要性について発信しました。

UK100レポート「気候変動対策の加速:ネットゼロの実現における国内の地域リーダーシップネットワークの役割」にイクレイ日本が協力

UK100はイクレイが協力した6つのグローバルネットワークの事例を深堀したレポートを上述のサイドイベントの場で公表しました。このレポートには、脱炭素化と気候変動の緩和に取り組む自治体やコミュニティネットワークへの提言と実践的な指針を含んでおり、自治体の気候変動ネットワークの有効性と、解決策を提供し、政府の目標達成に向けた更なる進展を促す変化を提唱することにフォーカスしています。

レポートのなかで、「イクレイ日本は、日本国内の自治体による持続可能な開発を支援し、その声を国内外に発信する役割やさまざまな取り組みを通じ、会員自治体の気候変動に対する意欲と能力を高め、気候行動の先駆けとなることに成功した」と紹介されました。

京都市門川大作市長からは「脱炭素社会を実現するためには、エネルギーの大消費地である都市の役割が重要である。京都市京都議定書発祥の地として、日本の気候変動対策をリードしてきた。イクレイ日本と連携し、世界の都市とのつながりを深め、お互いに取り組みを強化し合うことで、世界の脱炭素化を目指す。イクレイ日本は、そのグローバルな活動を通じて、日本全体の気候変動対策を深化させ、京都市のみならず、他の会員自治体の気候変動対策のレベルを世界標準に引き上げることができる。」とのコメントをいただきました。

グラスゴーにある英国が運営するグリーンゾーンでは、200以上のイベントが開催されました。詳細はこちらをご覧ください。

欧州パビリオンサイドイベント

NDCの地域化:大規模なアクションにどう資金提供し実装するか?」(11月9日 23:30~00:30(JST)

欧州パビリオンではCOP26の期間中、160のサイドイベントが開催されました。

「世界気候エネルギー首長誓約」事務局等が開催したサイドイベントのオープニングで豊田市太田稔彦市長の動画メッセージが流れ、環境省地球環境局国際協力・環境インフラ戦略室長の杉本留三氏や世界首長誓約の関係者たちが、NDC達成のためのマルチレベルの取組みについて、紹介しました。

中国企業パビリオン「都市とコミュニティのためのカーボンニュートラル」(11月2日 09:30~12:00(GMT))

中国のNGOである気候行動チームと万科公益基金会が開催した「中国企業パビリオン」では「気候変動対策と持続可能な開発」をテーマに一連のサイドイベンが行われ、気候変動への取り組みに関する世界的なトレンド、アイデア、知識、経験、ベストプラクティスや普及について共有し、国内外に向け発信しました。
11月2日に開催したテーマセッション「都市とコミュニティのカーボンニュートラル」では、イクレイ日本の内田東吾事務局長が登壇し、イクレイのミッション、活動、行動戦略などの紹介し、日本における地域、気候行動への動員と支援について述べました。
このセッションでは、都市のコミュニティがゼロカーボンへの道筋を模索する上で、各国の経験から得られた教訓、革新的なアイデアやその取り組みにどのようなものがあるか、そして、企業、政府、NGO、投資機関などが協力して、持続可能なコミュニティを構築するための最大のコンセンサスを得るためにはどうすればいいかなどについて議論しました。


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