【開催報告】気候変動枠組条約 第28締約国会議(COP28) in アラブ首長国連邦・ドバイ

2023年11月30日から12月13日まで、気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されました。今回のCOPには、各国の指導者や代表者、専門家が集まり、気候変動対策について議論と交渉が行われました。
170人以上のイクレイ会員を含む数百人の市長、市議会議員、知事など、地方および州のリーダーも出席。COP28では、各国の政策だけでなく、地域レベルでの気候変動対応が重要視されました。
今回のCOPでは、パリ協定の実施状況を5年ごとに評価するグローバルストックテイクが初めて実施され、世界の進捗状況が検討されました。これは、各国の気候変動対策の強化に向けた重要な節目となります。
CHAMPイニシアティブが70か国の支持を得て発足した後、日本はUNFCCCの公式イベントで初めて地方自治体との連携とマルチレベルな行動に関する国家声明を発表。この発表は国際的に高く評価され、日本政府と自治体の積極的な気候変動対策が注目されました。
イクレイの成果
COP28では、イクレイが世界中の地方自治体を代表し、各国に対してより野心的な気候目標の設定、設計と実施への積極的な協力、そして具体的なプロジェクトへの資金提供を求めました。初日には、「損失と損害の基金」の運用が合意され、地方自治体にとって重要な転換点となりました。
イクレイは11月30日のプレスカンファレンスで自治体のリーダーとしての存在をアピール。その後、LGMAや各国パビリオンでのセッション、交渉を通じ、これまでにない成果を上げることができました。地方自治体の気候変動対策に対する影響力が強まる中、COP28は国際的な協力をさらに深化させる機会となりました。
Local Climate Action Summit(LCAS)(12月1日)
12月1日、COP28議長、ブルームバーグ財団の主催による地域リーダーのサミットが、COPとして初めて正式に開催されました。都市の代表者として、パリ市長やリオデジャネイロ市長らと共に小池百合子東京都知事が参加し、先進的取組を発信しました
詳細・関連サイト
Advancing Ambitious Multi-Level Climate Action(12月2日)
野心的なマルチレベルの気候変動対策の推進をテーマとしたLocal Climate Action Summit (LCAS)分科会に、小池百合子東京都知事が登壇しました。新築建築物への太陽光パネル設置義務化やペロブスカイト太陽電池の革新性などを力強くアピールしました。
イクレイチームからメッセージ
COPに参加したチームメンバーが、それぞれの目標やCOP28に対する期待についてメッセージを寄せました。
イクレイグローバルアドボカシーディレクター
ユヌス・アリカン
マルチレベルのアクションがニューノーマルになり、パリ協定で交わした約束を果たす道がようやく見えてきました。
イクレイ持続可能エネルギー責任者
ロヒト・セン
私たちは、都市における自然エネルギーへの迅速な移行を提唱しています。私たちの目標は、カーボンニュートラルで、レジリエントかつ環境に優しい都市環境を実現するために、グローバルな協力、革新的な戦略、自然エネルギーの利用の拡大を推進することです。
イクレイ革新的財務責任者
Eszter Mogyorósy
地域気候変動対策サミットは、持続可能な地域プロジェクトの開発・実施に必要な資金を確保し、その触媒となる機会を提供しています。イクレイは国連資本開発基金(UNCDF)と協力して、途上国に資金を提供し、地方のインフラ資金不足を補う基金であるシティ・ブリッジ・ファシリティを設立しています。
イクレイ都市研究・イノベーション開発責任者
Pourya Salehi
COP28の使命は、気候変動への変革的行動を促進し、イクレイの研究とイノベーションを紹介することです。都市や地域のシステム変革を支援し、世界的な気候変動とイノベーションに関する議論に貢献し、都市の重要な役割を提唱します。IPCC AR7から実施課題にわたり、広範な関与を通じて国際的な対話に影響を与えます。
サイドイベント報告
マルチレベルアクション&都市化パビリオン(LGMAパビリオン)
イクレイは、ブルームバーグ・フィランソロピー、世界気候エネルギー首長誓約(GCoM)およびC40 Citiesと共同でLGMAパビリオンで多数のイベントを開催し、世界的なスポットライトを浴びました。
LGMAパビリオン内でイクレイの会員自治体の活動を紹介する動画が放映されました。イクレイ日本からは飯田市、京都市、さいたま市、東京都、所沢市、鳥取県、松山市、横浜市に動画を提供いただき、パビリオンの来場者に日本の会員自治体の取り組みをアピールしました。
📅12月1日
G7内の架け橋:日欧米における野心的な気候変動対策のためのUrban7からの教訓
- 主催:イクレイ
- 登壇者:イクレイ日本竹本理事長、トゥルク市のミーナ・アルヴェ市長、マルメ市のジョナス・カムレ気候変動リーダー、コロンビア市のバーバラ・バファロエ市長ほか
気候危機時代におけるマルチレベルの行動と都市化
- 主催:イクレイ
- 登壇者:ジノ・ヴァン・ベギンイクレイ世界事務局長(司会)、フランク・カウニーイクレイ会長(米国・デモイン市長)、小池百合子東京都知事、アル・ゴア元米国副大統領ほか
📅12月8日
Advancing Urban Net Zero and Green Transition with Smart Solutions
- 主催:イクレイ高雄キャパシティー・センター
- 登壇者:横浜市ほか
📅12月9日
Urban Resilience: Navigating the Climate Emergency in the Asia-Pacific Region
- 主催:イクレイ南アジア
- 登壇者:京都市、イクレイ日本内田東吾事務局長ほか
ジャパンパビリオン
📅12月1日
📼自治体が主導するレジリエントなゼロカーボン・持続可能な社会への移行
- 主催:IGES
- 登壇者:ジノ・ヴァン・ベギンイクレイ世界事務局長、青木克徳 葛飾区長、渡辺竜五 佐渡市長、鳥取県の学生
📅12月2日
📼地方のリーダーと脱炭素ドミノをG7から世界へー地方の気候行動に関するG7ラウンドテーブル
- 主催:環境省
- 登壇者:清水隼人さいたま市長
📅12月5日
1.5℃に向けてともにアクション: 日本社会が持続可能な脱炭素社会を実現するために
- 主催:気候変動イニシアティブ(JCI)
- 登壇者:東京都、門川大作京都市長(ビデオメッセージ)ほか
📅12月11日
国際連携によるブルーカーボンの推進
- 主催:環境省
- 登壇者:横浜市ほか
バーチャル・パビリオン
TOPICS(脱炭素社会取り組み地域)
川崎市、京都市の「2050年カーボンニュートラル」の実現と世界の脱炭素化を支える、脱炭素技術や取組が紹介
川崎市環境総合研究所
第20回川崎国際エコビジネスフォーラムの動画(福田市長のメッセージあり)を配信
富山市
公共交通を軸とした「コンパクトなまちづくり」を基本にした環境先進都市としての取組を紹介
その他イニシアティブ
📅12月2日
【鳥取県】会場から生配信!COP28 in ドバイ
COPに参加する鳥取県の学生3人が中心になり、COP28の様子や解説を生中継でお届けし、日本からの質問には現地発信者がリアルタイムで答えました。
Race To Zero “We Don’t Have Time.”
- 主催:Race to Zeroチーム
- 登壇者:長野県阿部守一知事(3:09:15あたり)、門川大作京都市長(Race to Zeroキャンペーンにビデオ登壇)
📅12月5日
マルチレベルな行動を活かす:地域気候行動サミットの振り返り
- 主催:Alliances for Climate Action
- 登壇者:東京都ほか
Powering past coal’: Minister Steven Guilbeault takes part in COP28 panel
- 主催:脱石炭連盟(PPCA)
登壇者:門川大作京都市長ほか
デイリーアップデート
- LGMA COP Daily Update 10|気候と生物多様性の目標を同時に
- LGMA COP Daily Update 9|マルチレベルガバナンスを強化する必要性
- LGMA COP Daily Update 8|都市閣僚会議がマルチレベル行動デーを主導
- LGMA COP Daily Update 7|東西南北の自治体の共通の声
- LGMA COP Daily Update 6|市役所でのミニCOPからCOP28に至るまで
- LGMA COP Daily Update 5|都市と地域の損失と被害
- LGMA COP Daily Update 4|LGMA が COP28 首脳会議のテーブルに着くと何が起こるか
- LGMA COP Daily Update 3|気候変動アジェンダの中心となる地方および地域のリーダー
- LGMA COP Daily Update 2|都市と地域が COP28 に向けたメッセージを発表
- LGMA COP Daily Update 1|COP28 が開催されます