プラスチック汚染に関する政府間交渉委員会 (INC)

プラスチック汚染は、最も差し迫った環境問題の一つです。世界のプラスチック生産量は、2000年の年間2億3400万トンから2019年には、年間 4 億 6,000 万トンに倍増しました。プラスチック廃棄物も同時期に1億5600万トンから3億5300万トンに倍増していますが、リサイクルされているのはわずか 9% です。プラスチック廃棄物の多くが焼却または埋立地に送られており、約22%は、管理されていない埋立地に廃棄されたり、野焼きされたりと環境中に流出しています※。プラスチックは耐久性があるため、不適切に廃棄されたプラスチックは、何世代にもわたって環境に残り、小さな粒子に砕け散ること等により直径5ミリ以下の微細なプラスチック片(マイクロプラスチック)となり、生態系や食物連鎖に影響を与え、最終的には私たち人間の身体に入り、未知の健康被害をもたらす可能性があります。プラスチック汚染が及ぼす影響は、生物多様性や人間の健康といった問題だけではありません。プラスチックは、その生産から廃棄に至るまでのライフサイクルを通じて世界の温室効果ガス排出の大きな要因です。2019年には、プラスチックは18億トンの温室効果ガスを排出したと言われており、その9割がプラスチックの生産及び加工によるものです※

こうしたプラスチックに関する問題に対処するため、2022年3月の第5回国連環境総会再開セッションにおいて、「プラスチック汚染を終わらせる:法的拘束力のある国際約束に向けて」が採択され、INC(Intergovernmental Negotiating Committee:プラスチック汚染に関する政府間交渉委員会)の設置が決定されました。INCは、2022年11月から2024年末までの期間に5回の会合を経て国際文書(条約)の策定に関連する作業を完了することを目指し、2022年11月にウルグアイでINC-1が、2023年5月にフランスでINC-2が、同年11月にケニアでINC-3が、2024年4月にカナダでINC-4が、同年11月に釜山でINC-5が、それぞれ開催されました。

INC-5は、条約策定に向けた最終の交渉委員会として、11月25日から12月1日まで韓国の釜山で開催され、170カ国以上の加盟国を含む3,300人以上の代表が集まりました。INC議長のルイス・バヤス・バルディビエソは、INC-5に先立ち、すべての人の期待に応え、いくつかの妥協を見出し、条約の批准を目指すための土台となる非公式文書「non paper」を提示し、異なる意見のギャップを埋めようと努力しましたが、一部の国によるプラスチック生産規制への反対等により、プラスチック汚染を根絶させるという目的には合意に至らず終了しました。

INC-1からINC-5まで、自治体からのメッセージは明確かつシンプルでした。いくつかの重要なポイントは以下の通りです:

  • プラスチック汚染のない未来を実現するためには、自治体が重要な役割を果たすことを明確に認識する必要がある。
  • 廃棄物管理は自治体の主要な責務であり、このことを強調する必要がある。
  • 対策を迅速に拡大できるよう、財政的・技術的能力を含む資源を自治体が利用できるようにしなければならない。

今回合意できなかったことを受け、2025年中にINC-5.2での交渉を継続することとなり、次回交渉の基礎となる「議長文書」が合意されました。

「議長文書」には、自治体の立場が限定的に盛り込まれています:

  • 「廃棄物管理」第8.2条:プラスチック汚染に取り組む上で、地方レベルが果たす重要な役割を強調
  • 「キャパシティ・ビルディングとマルチレベル協力」第12.2条:自治体を国家政府のパートナーとして明示的に言及

今後、私たちはこれらの条項を保持し、拡充するよう働きかけます。自治体が、単なるプラスチックごみ処理の運用主体というだけでなく、適切な資金調達へのアクセスを確保する上で不可欠なパートナーとして認識されるようにする必要があります。資金調達の仕組は、自治体の視点を考慮して設計されるべきであり、それによって施策の拡大や長期的な持続可能性を支援できるようにすることが求められます。

1 Key findings, Global Plastics Outlook OECD 2022, 22 February 2022
2 GHG emissions from plastics lifecycle, Global Plastics Outlook OECD 2022


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