リオ3条約に関するポジションペーパーを出しました【イクレイ世界事務局】
今年(2026年)は、リオ3条約の3つの締約国会議が開催されるスーパーイヤーです。8月のモンゴル・ウランバートルでの第17回国連砂漠化対処条約締約国会議(UNCCD COP17)を皮切りに、10月のアルメニア・エレバンでの第17回生物多様性条約締約国会議(CBD COP17)、そして11月のトルコ・アンタルヤでの第31回気候変動締約国会議(UNFCCC COP31)と、砂漠化対処、生物多様性、気候変動という3つの国際条約の会議が、数ヶ月のうちに立て続けに開催されます。
イクレイは、このタイミングに合わせて、8月21日、UNCCD COP17の場で新たなポジションペーパーを発表しました。タイトルは「気候・生物多様性・土地に関する一貫性の推進についての自治体の視点(Local and subnational government perspectives on advancing coherence across climate, biodiversity and land)」です。
そもそもこの3つの条約は、1992年の地球サミットで、「環境保護」「持続可能な開発」「人々のウェルビーイング」は切り離せないという一つの考え方から生まれました。ところが30年以上が経つうちに、それぞれの条約は独自の交渉の場、報告の仕組み、資金の流れ、専門機関を発展させ、気づけばバラバラに歩みを進めるようになっていました。同じ方向を向いているはずなのに、実務レベルでは足並みが揃わず、努力が重複したり、計画や予算が縦割りになったり、報告書だけが増えていく、という状況が起きています。
一方で、都市や地域で働く私たちの立場から見ると、そんな区分けは存在しません。自治体における意思決定は、CO2排出にも、身近な生きものの生息環境にも、土地の使い方にも、インフラにも、住民の健康にも、災害への備えにも、同時に関わってきます。気候の課題だけ、生物多様性の課題だけ、という切り分け方は、現場の実感とは違います。私たちにとってあるのは、つながりあったシステムをどう管理し、どのように暮らしやすく強靭な都市をつくるか、という現実です。
だからこそ、イクレイは、このスーパーイヤーを、単なる会議の重なりではなく、条約間の連携を立て直す好機ととらえています。今回のポジションペーパーでは、以下7つについて提言しています。
- 自治体を3つの条約すべてにおける重要な実施パートナーとして正式に認識すること。
- 生物多様性、気候変動、適応、土地劣化に関する国の計画・目標を整合させ、関係省庁間の連携を強化すること。
- 報告サイクルや指標を可能な限り統一し、地方・地域のデータを活用することで、一度収集したデータを複数の報告に活用できるようにすること。
- 自治体が気候、生物多様性、土地に関する資金へ直接かつ簡素にアクセスできる仕組みを整備し、統合的な取組への民間投資なども促進すること。
- 3条約間の連携を担うJoint Liaison Group(JLG)を強化し、情報交換の場から、戦略的な調整や学習、進捗確認を行う機関へ発展させること。その中で、自治体を計画・実施・評価に実質的に参加させるようマルチレベル・ガバナンスを重視すること。
- IPCC、IPBES、UNCCDの科学・政策インターフェースの連携を制度化し、科学的知見を国の計画に反映するとともに、世界レベルの知見を地域の実情に結びつける仕組みをつくること。
- 自治体、市民社会、先住民、地域コミュニティ、学界、民間セクターによる自主的な取組を明確に認識し、社会全体で3条約の実施を加速させること。
これらの提案は、条約をゼロから作り直す話ではなく、すでにある仕組みや枠組を、もっと本気で使いこなそうという提案です。
イクレイは、気候変動枠組条約ではLGMA (自治体:Local Governments and Municipal Authorities)の窓口(Focal point)として、生物多様性条約では公式の窓口であるイクレイ都市生物多様性センター(CBC)を通じて、そして砂漠化対処条約では自治体の参画を支援する招集パートナー(convening partner)として、それぞれのプロセスに関わっています。今後も、3つの条約において自治体の参画と連携を促進してまいります。

